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shoeshine Life

Written by 長谷川 裕也May 09,2014

僕が靴磨きを初めて10年ほど経ちます。

10年前に東京駅の路上で始めた頃はまだ東京駅、新橋駅、銀座の電通通り、蒲田駅、浅草駅、池袋東口、新宿靖国通り沿い、渋谷のマークシティの前、日本橋高島屋横・・・・など沢山の靴磨き屋さんが路上で営業されていました。

靴磨き屋さんなんて見たことのない田舎者の僕は、頭の中でイメージする姿そのままに、100円ショップで買いそろえてセットを持って友人と「靴磨きと言えば、ビジネスマンが磨くもの、じゃあビジネスマンはどこにいるのか。。。それはやっぱり東京駅でしょ!そうだ丸の内だ!!」という様な単純な発想から初日は東京駅丸の内で靴磨き屋さんを友人を誘って始めました。

近くには丸の内北口前に長年靴磨き屋を営む大先輩方が4,5名並んで毎日沢山のお客さんの靴を磨いています。

当時一足500円。

どんな時代も路上の靴磨きは、タクシー初乗り料金とほぼ一緒という鉄則があったようで、確かその頃のタクシーは初乗り600円くらいだったような・・・

ともかく、そんな大先輩方の牙城である丸の内に突然現れた靴もろくに磨けない無謀な若者二人。

それでも初日の売り上げは、朝8時くらいから粘って粘って夜の10時くらいまで磨いて7000円!!

もうその時の感動というか、達成感たるや、、、それまでの人生の中で一番の大インパクトでした。

 

そこから靴磨きの魅力に取りつかれ、数々の靴磨き職人に磨いてもらい、自分で革や道具など研究し、大量に購入した中古革靴で色々な実験を重ね、今に至ります。

勝手に靴磨き職人日本代表だと思っておりますので、皆様これからどうぞよろしくお願いします。

(自己紹介長くてすいません!!)

ブログ用.jpg

※2010年John Lobb Londonの工房にて靴磨き。

そんな僕ですが、靴磨き職人の地位向上の為に今まで色々なことをしてきました。

ふとある日、靴磨き職人という職業はいつくらいからあるのだろうかと気になって色々と調べたことがあります。

皆さん、靴磨き屋っていつからいると思いますか??

僕の調べた限りですと、最初に当時の新聞に掲載され確認出来ているのが下の写真のような靴磨き屋です。

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明治時代の街頭靴みがき

『国民新聞』(明治二十四年七月十日付け)

◎靴みがき・・・・・街頭を呼び歩きつつ到る所にて、ごしごしやるなり。故に途上ぬかるみに踏み込みても、この大旗さしかざしたる御大将に逢えば、たちまち濯々たる新らしき靴となすを得べし。」

 

斬新!!

当時は店を構えるほどでもなく、街中を歩きながら道行く人に声をかけてその場で磨いていたとの事。

これを現代で始めたら面白そう。。。

こういう古いスタイルって、時代が経つと最先端になりうると感じます。

サンフランシスコ.jpg

『国民新聞』(明治26年6月7日付け)

桑港街(サンフランシスコ)の靴磨き

 

その2年後の国民新聞の記事。

同時期なのに上の写真とは大違いの靴磨き。

さすがアメリカ!!!!

今のスタイルとほとんど変わってません、大きい椅子にデンと座って磨いてもらう通称「王様スタイル」はこんな昔から確立されていたのですね。

アメリカ恐るべし。。。

と少し時が経つと、靴磨きマシーンが世に出てきました。

「都新聞」明治30年3月28日 靴磨き機.JPG

 『都新聞』(明治30年3月28日付け)

◎磨靴器械(図解)・・・・・この図に示す所の磨靴器械はカナダ人が近頃発明して専売免許を得たるものなるが、その仕掛はロールの下に一條の紐あり。靴墨を吸収せしめたるものを之に附す。又器械の両端に柄あり、手を以って之を動かせば靴磨けて美麗となる。」

 

いつの時代も人は楽をしたいものなのですね。

カナダ人が作ったというのもなんだか興味深いですが、果たしてどのくらい売れたのでしょうか。

 

こうやって時代を遡ってみてみると、靴磨きというのも興味深いものです。

ペリー来航から革靴が本格的に日本に入ってきて、日本の靴の歴史が始まりました。

最初は靴直しが世に出てきて、(草鞋職人が転職)その後の靴磨き。

明治初期~中期は革靴泥棒も多く、当時は今よりも革靴が大変高価なものだったので大事に履いていたと思われます。

ここ最近は、またスニーカーブームが到来しておりますが、その一因として革靴の高騰が多少はあるのではないかと思っています。

10年くらい前からすると、革靴の値段は1.5倍くらいになっており(メーカーによりますが)背伸びしても買えない値段になってきました。

逆にスニーカーは相変わらず安価で、しかもデザインもバリエーションも豊富で手軽にオシャレ出来ます。世のカジュアル化もスニーカーブームに拍車をかけてます。

ある意味このような状況から、昔のように革靴が高価な貴重ものとしてまた大切に履く人が増えると良いと思いますし、

それを僕たち靴磨き職人が価値ある仕事として存在出来るように技術を磨き続けていかなければならぬと思っています。

ということで、shoeshine lifeの第一回目はこの辺で。。。乞うご期待!