Written by 伊知地 伸夫December 28,2017
Written by 伊知地 伸夫December 13,2017
BLUE NOTEの逆襲
WOWOWでブルーノートの逆襲というドキュメンタリーを放送していました。
僕もここ最近のBlue Noteは凄いと感じていたので、非常に楽しめました。
今回はこの番組を紹介しつつ、Blue Noteについてお話しを進めていきます。
今年で創設78周年を迎えたBlue Noteは2012年に現役ミュージシャンでプロデューサーの
ドン ウォズを社長に迎えて快進撃を続けています。
ドン ウォズ
ドン ウォズはローリングストーンズ、ボブ ディランなど大物ミュージシャンを
プロデュースし、手がけたアルバムがグラミー賞最優秀アルバム受賞したり、
自身でもプロデューサー賞を受賞している大物プロデューサーです。
ロック畑のドンが何故Blue Noteの社長になったか?
ドンは当時無名だったジャズシンガーのグレゴリーポーターのライブを観て一目惚れして、
友人のキャピタルレコード社長に直ぐに契約するべきだと進言したことがきっかけでした。
グレゴリー ポーター
当時キャピタルレコード傘下のBlue Noteはカタログやグッズ販売の部門だけを残して
新しいアルバムの制作をやめる方向だったそうです。
それを避けたかった友人が、お前が社長になってグレゴリーポーターを引っ張って来いと言い、
ドンが了承したのが始まりでした。
LUQUID SPIRIT/ グレゴリー ポーター
2013年グラミー賞 最優秀ジャズボーカルアルバム受賞。
ジャズ界では異例の50万枚突破。
[WIREDより、ドンのインタビュー]
Blue Note Recordsの創始者のアルフレッド・ライオンが1939年に書いたステイトメントが残っている。
彼はそこでBlue Noteのミッションを「オーセンティックな音楽を世に送り出すこと」と書いている。
ぼくが21世紀のいまBlue Noteにおいてやるべきは、まさにそれだと思う。
60年代の音楽を再生産することじゃなくてね。
そうやって果敢に新しいチャレンジをしたおかげか、2012年の売り上げは前年比で60%も伸びたんだ。
Blue Noteは創始者、アルフレッド ライオンとフランシス ウルフが
1939年に作ったジャズレーベルです。
アルフレッド ライオンとフランシス ウルフ
アルフレッド ライオンとソニークラーク
COOL STRUTTIN'の打ち合わせ
1986年初来日
第一回マウントフジ ジャズフェスティバル
ライオンは熱狂的なジャズファンで最初は貸しスタジオで
個人的な楽しみのつもりでレコーディングをし、数枚プレスして終わるつもりだったが、
あまりに出来が良かったので市販することにしたのが始まりでした。
ライオンは私財を投げ打って、特に人種差別をうけていた黒人の無名のミュージシャンを
次々と起用してアルバムを作りました。
ライオン自身もドイツ系ユダヤ人でナチスドイツの迫害を逃れて
アメリカに移住しています。
セロニアス モンク、ホレス シルバー、ハンク モブレー、ルー ドナルドソンなどの
初リーダーアルバムを作り彼らを育てあげていきました。
商業的にはかなり厳しくて、ミュージシャンと同じような生活を繰り返していて、
とうとう健康を害してしまい、自身の分身でもあったBlue Noteを
1966年にリバティレコードに売却しました。
ライオンは何十年間もその時代ごとに一番革命的なアーティストと契約してきた。
我々もそれを心がけていかなくてはならない。 (ドン談)
ドンが就任後、彼はウエイン ショーターをBlue Noteに呼び戻し、
ジャズの王道を歩み続けることを宣言。
一方ではヒップホップ世代のホセ ジェームス、ロバート グラスパー、
日本人トランペッター黒田卓也など新しいミュージシャンと次々と契約。
Blue Noteの最大の武器は本物の才能を見抜く感性で、
ドンはジャンルの壁を超えたロバートグラスパーの才能を引き出し、
ジャズミュージシャンで初めてR&B部門でグラミー賞を受賞させ、ジャズの可能性を広げました。
ウェイン ショーター
ホセ ジェームズ
BLACK RADIO/ ロバート グラスパー
アカデミー賞受賞作品
ドンもライオンと同様に人種差別に偏見を持っていて、
パナマ人の父を持つホセ ジェームス、日本人の黒田卓也などと
契約するのも肌の色ではなく、彼らに本当の才能を見抜いたからです。
まだまだBlue Noteについて書くことが尽きないのですが、
最後に熱烈なジャズファンだった創業者フレデリック ライオンの意思を持った
ドン ウォズが21世紀の新しいBlue Noteを全世界の音楽ファンを魅了していくことと思います。
もっとも大事なのは、常にファンであること。(ドン 談)
(画像、インタビューは引用)