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FILM NOIR #2

Written by 山本 祐平August 09,2014

フィルム・ノワールシリーズ第2回目はフレンチ・ノワールの王道と呼ぶに相応しい、若き日のジャン・ポール・ベルモンド主演の「いぬ(Le Doulos)」"1962"です。メルヴィル作品中最も複雑なストーリー構成を持つ作品で、誰しも一度ではストーリをつかめずエンディングをむかえ、見終わった後は喉に小骨が刺さったまま腑に落ちない気分で話は終わります。しかし、喉に刺さった小骨が気になり幾度となく繰り返して観ると、主線と複線がうまく絡み合い。メルヴィル流の"抑えが効いた"演出をもって浮かび上がる孤高のストイシズムの世界。全編モノクロームの映像も手伝ってか、若き日のベルモンドがどことなく近寄りがたい鋭さをもち、悪魔的なムードをより一層深める演出。ここでもお決まりのダークスーツに中折れのフエルト帽にトレンチコートスタイル、ここでステレオタイプのダンディズム風にありがちなオーバーな演出は必要無く、"言葉少なく乾ききった世界がそこにはある。

"じつにしびれます"!!

ベルモンドのトレンチコートの着さばきに注目。

幾度となく雨風に打たれたよれよれの軍用タイプのトレンチコートをここでは、欧州人らしく(身だしなみを重んじる) きっちり打ち合わせをかさね、ベルトは無造作に結ぶのでは無く,少しきつめにバックルに通す。ここにできた腰から裾にかけてのラインがなんとも"イナセ"で若年の引き締まった身体がより一層強調され、タフで強靭なムードさえ感じさせる。

これは若年のベルモンドにしかできない見事な着こなしである。

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写真は引用です。

続く