今さら聞けない自転車の扱い方①
December 16,2014
偏狭の店。
盆栽自転車店。
渋谷区は千駄ヶ谷の隅にひっそりと息をしている自転車屋でございます。
おかげさまで3周年の峠を超えまして。
カスタマーのみなさまも恵まれましてなんとか日々を生活させていただいてます。
そんななかでカスタマーの布陣はみなさまほぼ経験者。
弊店で自転車をはじめて購入されるというよりは、2台目、3台目のご利用がほとんどで。
以前のように初心の方にはじめから接するということも少なくなりました。
そこで、聞くに聞けない言いたいけど言いづらい。
そんな自転車の扱い方。
語る場を失ったわたしとしましては。
この場をお借りしてサイのツノのようにただ独り語らせていただくとさせていただきます。
'
さて、そんななかで第一話。
ついこのあいだに気付いたお話をさせていただきましょう。
まずは冒頭の画像をご覧くださいませ。
パンク修理をするYチーム員を囲む、冷たい目線のその他チーム員。
そういう画像でございますが、いわゆる「通」はココを見逃さなかったはず。
それは画像の左隅。
一生懸命にパンクを直している氏の自転車であろう物体が後輪を外されてナナメに傾いているではありませんか。
〜 自転車はオンナ 〜
カノジョは壁にもたれかかり、かろうじての安定を保っている。
'
ここにパンク修理をしている氏のファインプレーを見ることができます。
そのファインたるところはと申しますと自転車を正体にしていること。
つまり天地がそのままであるということです。
自転車から車輪を外す際に自転車を逆さにしてしまうヒトは少なく無いと思います。
現に、わたしも10年前に自転車屋で修行するまでは逆さにして外していたりしていました。
それがある日、先輩社員からの指摘でその癖を直したのです。
先輩社員いわく、「自分も先輩に言われたから」と、とくに理屈っぽい理由もございません。
とにかく、「プロは自転車を逆さにするな」ということでした。
'
それからは、その理由なき教えの理由を考える日々が続くわけです。
なぜなのか?なぜ?自転車を逆さにしてはならないのか?と。
そして、わたしなりに答えを出しました。
自転車は逆さにすると確かに安定するように思えます。
サドルに左右レバーの三点倒立状態で、一見するところ安定しそうです。
ただし、自転車は不安定です。
強風が吹けば三点倒立の状態はたちまち崩れてしまうでしょう。
そして、崩れた自転車はどうなるか、リアディレイラーが地面にヒットすれば変速機にも異常がでることがありません。
サイアクの場合はリアのエンドが曲がって、せっかくパンクを直したホィールを装着することすら危うくなることでしょう。
さらに逆さのままではホィールがフレームに対して真っ直ぐにハマりづらい。
このホィールが真っ直ぐに入っていないヒト、わたしが整備させていただいているなかでも少なくない事例です。
そういうわけで、今日からでもホィールの着脱をなさる際は「自転車は正体の状態で行う」にお気をつけ下さい。
そうすれば、初心の域から抜け出した姿を演出できるかもしれません。
そこにリスペクトがある。