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アラビア流おもてなしを体験する その1

Written by 中野 香織May 10,2017

みなさま、こんにちは。またしてもご無沙汰してしまってごめんなさい。
世界情勢が刻々と変わり、予断を許さない日々が続いていますね。攻撃や威嚇や緊張状態ばかりがニュースになりますが、生活文化やファッションを異文化に対して発信し、理解してもらおうとする努力を重ねて他国との平和な友好関係を結ぼうと行動する人たちもいます。世界の未来に明るい希望を見るためにも、今日はそのお話をいたしましょう。

ゴールデンウィークに入る直前、「駐日アラブ大使夫人の会」から昼食会に招かれました。場所はカタール大使館。なぜアラビア語圏に行ったこともない私などが招かれたのか? これについては後に大使夫人のひとりから聞かされることになるのですが、ともかくも私はアラブ世界に対する好奇心に導かれ、元麻布にあるカタール大使館をはじめて訪れたのでした。

arab 17.jpg

一歩足を踏み入れるとそこはもうアラブ世界。えもいえぬよい香りが豪華な室内いっぱいに満ち満ちて、異次元に連れていかれます。そして迎えてくださった7人の駐日大使夫人たちのエキゾティックな美しさときたら...。ヨルダン、チュニジア、パレスチナ、モロッコ、イエメン、オマーン、カタール。それぞれの国のゴージャスな衣装に身を包み、丁寧に化粧を施し、フェミニンの極みのような香りと笑顔で迎えてくださったのです。西洋の方はしばしば日本と韓国と中国の区別をつけにくいとおっしゃいますが、私にしても、この時点では上にあげた各国の区別がまったくついていません。でも、服装も全く違ってそれぞれの文化ならではの特徴やルールがあるし、食文化やお茶の飲み方にも違いがあります。ひとりひとりと話をしてみて、ようやくおぼろげに感覚的に違いがあるようだ......とわかりかけてきた程度。

arab all the ladies.jpg今回もてなしてくださった大使夫人たち。左からマダム・ヨルダンのシーファ、マダム・イエメンのジャミーラ、マダム・チュニジアのウィダッド、マダム・パレスティナのマーリ、マダム・モロッコのファティハ、マダム・オマーンのアビール、そしてマダム・カタールのジャミーラです。


さて昼食の前に次々にプレゼンテーションがおこなわれます。まずはアラビア流のおもてなしの解説。アラビア流のおもてなしはお香から始まるということ。そして基本はゲストに自宅にいるようにくつろいでもらうようにすること。見知らぬ人でも宿に困っていたら泊めてもてなし、3日目にようやく職業を聞くのだとか。

そして次なる話題は、「アラブと日本の類似点」。シルクロードを通って日本とアラブが交流してきた歴史の簡単な解説と、その結果としての類似品や、よく似た習慣の指摘がおこなわれます。シルク、お香、真珠、コットン。ゆべし、七味スパイス。モザイク、アラベスク文様、青い陶器、青海波モチーフ、ステンドグラス。長持ち、押し入れ、竹天井、土壁、和式トイレ=アラビックトイレ、ゴザ、すだれ。三味線、温泉、布団、おちょこ......。実に多くの類似点があることを豊富な写真スライドで見せていただきました。このプレゼンをおこなったのはヨルダンのシファさんですが(下の写真の右から2番目、グレーのドレス)、彼女はたいへんなインテリだなと感じたら、なんと理工系の大学院を出ていらっしゃいました。ほかの大使夫人も、大学院卒が多いとのことです。



さらにアラビア式インセンスのつくり方ともてなし方。水に香りづけもするんですが、その具体的なやり方をデモンストレーションしていただきました。マダム・イエメンのジャミーラがまとうドレス(ゼンナと呼ばれる)は金糸銀糸を使った豪華な服地で作られた精巧なもので、ヘッドピースはオスバと呼ばれ、既婚婦人が着用するのだそうです。イスラム教では基本、夫以外の男性に髪や肌をできるだけ見せないことになっていますが、「必ずしも義務ではない」とのこと。

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ひととおりアラブ文化の概要を学んでからランチテーブルへ。席順は、折り紙で選びます。マダム・オマーンのアベールが折ったカラフルな鶴の折り紙から一羽を選ぶ。それと同じ鶴が置いてあるテーブルへ着く、という仕組み。このやり方、公平感もあり、素敵ですね!

arab 5.JPG

さて、食事が始まります。(次の記事へ続きます。)

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エッセイスト/服飾史家/
明治大学特任教授

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