アラビア流おもてなしを体験する その2
May 10,2017
(その1から続く)いよいよ昼食が始まります。各国の大使夫人がそれぞれの国の家庭料理を持ちより、それを各自がブッフェ形式でいただくというハートフルなおもてなし。
お料理の手前に、どこの国の料理なのかがわかるよう、料理の名前と国名、国旗が記されたカードが置かれています。
銀のトレイに美しく盛られた料理はどれも初めて食べるものばかりでしたが、心を込めて作られたことが胃袋を通して伝わってくる、スパイシーながらとてもおいしいものでした。
スイーツはあまりの甘さに衝撃。圧巻のフルーツはすべてそれぞれの本国から空輸されたものです。これが本来の自然の味というか、「甘くない」のです。日本のように甘くするよう改良していないので、むしろさっぱりとしていて、口直しに最適でした。
料理はどれも手が込んでいてすばらしく、できれば作り方を学びたいものもありました......と思ったら、マダム・ヨルダンのシファが、日本で入手できる材料を使ったアラビア料理の本を日本語で出したいと希望しているとのこと。とてもいいアイディアだし、この超インテリ美女軍団でもあるアラブ女性たちならばユニークな料理本ができるはず。読者のなかに出版社の方がいらしたら、ぜひ、ご検討くださいませ。私まで連絡いただければおつなぎします。
さて、食事が終わって場所を移してティータイム。豪華なティーセットが用意されています。
各国によってお茶やコーヒーの淹れ方や、飲み方の作法が違うんですよね。何種類か聞きましたが、スパイスの香りに酔わされ、なにがなんだか正確な区別がわからなくなっています。メモも判読不能...。申し訳ありません。唯一覚えているのは、カップが空になると延々と注ぎ続けられるので、「もうお代わりはいりません」というときは合図としてカップを左右にふる、ということ。デモンストレーションしてくれる赤いドレスの方はマダム・パレスチナのマーリ。ピンクのドレスの方はマダム・カタールのジャミーラ。彼女たちのドレスは至近距離で見ると実に贅沢な生地と仕立てで作られていることがわかります。溜息がでるくらいの迫力なのです。
ちなみに日本女性も10人ほど招かれていたのですが、アラビア文化関係者のほかは、ほとんどが政治家や外交官の奥様でした。
お茶をいただきながら、ゲストの一人、ユニセフの親善大使でもあるアグネス・チャンさんによるお話を聞きました。シリア難民の子どもの教育に関する最新情報です。シリアの子どもたちは美しく明るい。状況がいかに困難であっても、未来の希望である子供たちに教育を授けようと最大の努力が払われていることを知りました。アグネスさんの貢献にも頭が下がる思いがします。
アグネスさんの右隣のお着物の方は、外務省中東アフリカ局参事官の高橋さんの奥様。着物地と帯にアラビアンナイトの模様があしらわれているのです。帯留めもご自分のお名前をアラビア語でかたどったもの。このような、アラビア文化に敬意を表した着物で社交するという姿勢、さすが外交官の奥様だけあるなあと感動した次第です。
(その3に続きます)