CHET BAKER / BORN TO BE BLUE
April 18,2016
"IFC"
NY,IFCは、僕の好きな映画館です。
ヒットを狙った映画よりも、センスのある映画!を、多くやっていただけるからです。
それに、古い粋な映画を思い出したり、学習したりができます。
今回のNY訪問時も、どんな映画が公開されているかなあ?と、ワクワク。
幸いにして、今の僕にぴったりな映画をやっていました。
この写真! 白のシャツの出ぐわいが最高です!
"BORN TO BE BLUE"
イーサンホーク主演、
彼のトランペットシーンがいいですね!チェットベイカーを生き返らせます。
青々しくてナイーブなCHETの表情をよく捉えていました。
物語は、ドラックが原因の喧嘩に巻き込まれ、大切な前歯を折られます。当然、演奏活動はストップ。
その後、73年にデイジーガレスビーなどの支援で復活!するのですが、
大荒れに荒れるその前後の時代を描いています。復活のシーン!いいんですよ、これが。
トランペットを吹くイーサンの横顔と曲調がCHETに被り、哀愁を感じさせてくれます。
監督は、ROBERT BODREAU,
前作, "The death of Chet Baker" を2009年に制作、それが今回の映画制作を思い立ったきっかけに
なったのだとか。CHETの死亡の謎をたどった映画です。
イーサンホーク / EATHAN HAWKE
リバティフェニックスとも子供時代、共演していたのですから芸歴は長いです。
"今を生きる" で個性的な学生役、"リアリティバイツ" でもウィノアライダーと共演し、
ジェネレーションX・MTV世代と騒がれました。
また、マニアな映画 "ダカタ" でウマサーマンと共演、そして結婚。(もちろん、離婚)
イーサンのよさは、あの細い眼にあります。ちょっと自信のなさそうなぐらついた表情!
そして、ハリウッド大作の道を選ばずマイナーな映画やいい映画であれば、ちょい役も構わずトライ。
"クロッシング" の悪徳警官役などは、彼らしさがよく出ていました。
最近の映画では、名作 "6才の僕が大人になるまで" で、そんなぐらぐらした父親を演じていました。
監督もトライ! "チェルシーホテル" 奥方ウマサーマンを使って。
センスのいい役者ですから、これからの映画界の良識な部分を引っ張っていってくれるでしょうね。
チェットベイカー / CHET BAKER
彼については、まず村上春樹さんの "Portrait in Jazz" の冒頭から抜粋しましょう。
==チェットベイカーの音楽には、紛れもない青春の匂いがする。ジャズシーンに名を残した
ミュージシャンは数多いけれど、(青春)というものの息吹をこれほどまで鮮やかに
感じさせる人が、ほかにはいるだろうか?
~~胸の疼きがあり、心象風景が、あった。~~
~~ベイカーはジェームスディーンに似ている。顔だちも似ているが、その存在のカリスマ性や
破壊性もよく似ていた。~~
僕は、JAZZファンではなく、チェットのことは、80年の映画で初めて知ったのですが、
"Let's Get Lost" あの時代の寵児でもあるカメラマン "ブルースウェーバー" の初めての映画である。
カッコイイこの映画が、CHET BAKER の復活に大いに力になったことは、言うまでもない。
JAZZファンからも忘れ去られていたCHETを、表舞台に引っ張り出したのですから。
彼のトランペットは勿論ですが、一見稚拙な彼独特の声も時代にはまりました。
僕ですら早速CDを買いこみ、50年代の曲までさかのぼり西海岸JAZZのもの悲しさに
僕なりにはまりました。どうして、こんなにも孤独なJAZZなのだろうかと。
(この映画に関しては、以前書いていますので、合わせて読んでください)
また当時、"マイファニーバレンタイン" を、CHETが歌うと女性たちは一斉に溜息を
漏らしたそうで、ロマンチックな甘いヴォイスがかっこよかったようです。
80年代は、バブルのいい意味での落とし物かアート感覚に、みんなの目が向かいました。
"ストレンジャーパラダイス"で絶賛されたサックス奏者兼俳優ジョン・ルーリーの
フェイクジャズが大いにもてはやされた時代、
CHETの再登場のきっかけ作りになったのかと。JAZZオンチの僕の幅も広がりました。
(技術的なものより、感度、感情を表すことが時代だったのです)
イーサンホークの今年の映画最新作は、ウエスタンです。
"暴力の谷で" 西部劇 / 共演、ジョントラボルタ
公開が待ちどおしいです!
(全て引用写真です)