UKIGUMO / NARUSE MIKIO
April 04,2016
日本列島桜開花北上シーズン!に合わせて、(関係ないですよね)
昨年末の大好評だった?(そんなわきゃ~ない) "よろめき" シリーズ 第二弾!
成瀬巳喜男 / 浮雲
生誕110年を迎えた成瀬は、最初は松竹に入社、丁稚奉公から。その後、助監督などをえて
同期の小津安二郎が所属する東宝に移る。そして、その後フリー活動となる。
黒澤明や石井輝夫など今日みれば超実力ある監督も、元々は成瀬の助手(助監督)を勤めた訳だから
成瀬の実力がそこからもうかがえる。
沢山の映画を製作するが、僕が見てるだけでも(DVDでだが)
"めし" "山の音" "流れる" "娘、妻、母" "放浪記" "女が階段を上る時" "女の中にいる他人"
"乱れる" "乱れ雲" そして、名作 "浮雲"
"山の音" 原節子と山村聰がいい味だしています。成瀬は、女性の描き方がスゴイのですが、
この映画でも、義父とのかなわぬ恋情に身を焦がす役を、一見清らかそうな顔だちの原節子が演じる。
うなりまっせ! こんなシチュエーション!
同じようなストリーで、若大将/加山雄三が義弟役、高峰秀子が兄嫁役での"よろめき"
なんか、近頃のAVストーリーを彷彿?しかし、このテーマは古代からの普遍テーマですからいいんじゃない?
(原節子と山村聰/山の音)
(高峰秀子と加山雄三/乱れる)
(高峰秀子と仲代達也/女が階段を上る時)
(原節子と上原謙/めし)
そして、"浮雲" 下記に代表的な映画評をのせていますので、僕の話は、一部にとどめますが。
いつの時代にもいる、女にもてるダメ男を森雅之が熱演!さすがにピッタリな役どころ。
高峰秀子は、どんな役でもはまります。清純派からアバズレ役までと、芸達者ぶり!
なんと!ほとんど同時に2本の映画の演技、"浮雲" "二十四の瞳" 全く違うキャラを!
この映画では、腐れ縁というか "やけぼっくい" というか、離れても離れてもまた惚れる女心を演じます。
二人のラストシーンが美しいんです。そのシーンへ持っていく為の破天荒な男女関係を描いた映画です。
そして、このワンシーン! 伊香保温泉の入浴シーン!その前の男女4人の団欒の場面!スゴイでっせ
岡田茉利子と森雅之の目線の絡み方が異常! なんとまあぁ~~でっせ!
森雅之でなければ、この仕事は無理とちゃいますか? あの眼に女は持っていかれるのです。
誠実な見栄えと優柔不断な性格!なかなかできまへんぜよ。
と言う訳で、この映画見なくちゃ~大人な恋愛は語れまへんでっせ。
岡田茉利子の入浴シーン
伊香保温泉の坂道
イーデン・コーキル 映画評より~
オーストラリア人、ジャパンタイムス記者
==2時間の上演時間、あるいは登場人物の約10年間におよぶ人生描写、
成瀬巳喜男監督による『浮雲』(英題:Floating Clouds, 1955)のその終焉で、
元政府官僚の富岡兼吉(森雅之)は長年の愛人である幸田ゆき子(高峰秀子)に、ようやく愛情をみせる。
しかしそのささやかな感情は、2人を夫婦だと思っている周囲の人々に半ば負い目を感じて表現されたのであり、
瞬く間に生命を脅かす病に倒れた、ゆき子との間では、つかの間のものであった。
『浮雲』は戦後の日本で、不幸でありながらも粘り強く人生を戦い抜いた女の生涯を描いただけの映画ではない。
戦争に大いに脅かされた感情が、実戦を戦ったわけでもない男の人生を、
最終的にどこまで滅ぼしたかを描いたのだ。==
成瀬巳喜男監督は、この作品を自分の代表作とは認めてはいなかったようですね。
ちょっとタイプが他の作品とは違いますね、そういえば。
だが、時空を超えて、この映画が海外で大大評判になったのですから、本人としてもむずがゆいのでは?
成瀬モノをみれば、日本の他の映画を論じる必要はない!と、喝破なされた評論家もいたとか。
とにかく一連の成瀬映画は、僕に昭和な大人の世界のカルチャーの凄さを教えてくれました。
(あ~りがぁあたぁやぁありがたや)
(全て引用写真です)