St.Tropes---engineer trad
October 02,2011
サントロペ、20年代には上流社会でいち早く有名な保養地としてもてはやされました。勿論、現在もそこそこ高級リゾートというイメージは残りますが、70年代頃からは隣のニースやカンヌに高級というイメージは奪われています。
ただ、ヨットハーバーがあるので、ヨットの修理や造船に携わる技術者、そしてfisherman系の人々が多く住まうマリーンタウンといえます。
ケネディのロングアイランド(EAST)、ハリウッドスターのパームスプリング(WEST)、アメリカのURRER CLASSなリゾートタウンにフランスのやや庶民じみてはいますがENGINEERの情熱的なサントロペ(FRANCE)、ややこしい話ではありますが、この3つを混ぜ合わせると、微妙に素敵な香りの新しいTRADSTYLEが見えてきます。
ブリジットバルドーの出世作”素直な悪女”(1956)、この映画はロジェヴァディムの監督デビュー作でもあります。なんと自分の女房を主役にしました。ブリジットバルドー、当時22才。彼女はこの映画を足がかりにセックスシンボルとして大ブレークします。(当然、映画公開後、離婚) その美しい肢体だけでなくファッションセンスもすばらしく、今年の50~60年代調のファッションアイコンにもなっています。
この映画の舞台は、サントロペ。
冒頭、老紳士役のクルトユンゲルスは赤のオープンカーでサントロペの小高い丘を登ってきます。いいシーンですね。
全裸で庭に寝転ぶバルドー、その肢体が眩しく、大人はそのニンフ的な魅力にはまっていきます。(当然当然)
バルドーの為の映画ではありますが、2人の素敵な男優がいます。
一人は、金持ちの老紳士役のクルトユンゲルス。これが渋くていいんです。スタートシーンの紺ブレに大きな3段のレジメンタルタイ。バルドーの全裸との微妙なバランス感。監督は、いい味出していますね。
他のシーンでのスーツスタイルも大人の決め技として完璧です。
もう一人は、ジャンルイトランティニャン、あの当時はあんなにも若かったのですね。60年代に”男と女””暗殺の森”etc渋い大人の演技を見ているので、なおさら初々しさに驚きます。
彼の着る一張羅のジャケットがまたいいんですよ。アイビースタイル(もちろんフランスには当時ありません)を彷彿する3ボタン段返りにサイドベント。ごく普通のかっこうがすごく素敵に見えるという典型的なスタイルです。
金持ちおじさんの大人スタイルとの逆ブリが楽しいです。
映画では、造船現場や海岸のカフェなど庶民的なマリーン味がみえ興味深かったです。
(以前みたCANNELの映画の地引き網を引くワンシーンを思い出します)
もう少し前のヒッチコック映画”泥棒成金”もサントロペの海岸線がよく出てきます。こちらは、上流社会に愛された頃のニースやサントロペが舞台です。
ケリーグラントとグレースケリーの黄金コンビですから当然、ウットリ!なのですが、今の気分は、やはり”素直な悪女”の時代かな?(冒頭の全裸のせい?)
フランスプロヴァンスエリアのニース、カンヌ、サントロペ、辺りを舞台にした映画はたくさんありました。ヘップバーンの”いつも二人で”、アランドロンとジャンギャバンの”地下室のメロディ”、マルセイユを舞台にしたベルモンドの”ボルサリーノ”、”きちがいピエロ”、海辺ファッションがおしゃれな”海辺のレストラン”etc.
高級リゾート地ではなくFISHERMANやヨットマンENGINEERが働く港町が、これからのマリーンルックのイメージかな?